小学三年生の時、
私は松浦の志佐小学校へ転校しました。
佐世保から戻ってきた私にとって、
そこは
「知っているはずの場所」であり、
「初めて立つ場所」でもありました。
教室に入った時のことは、
今でも、はっきりと覚えています。
前に立たされ、
名前を言い、
席に向かう。
それだけのことなのに、
空気が一斉にこちらを向く感覚がありました。
私は色が白く、
周りの子どもたちとは
少し見た目が違っていたのかもしれません。
「マネキン人形」
そう呼ばれることがありました。
悪意があったかどうかは、
正直、わかりません。
子ども同士の、
無邪気な言葉だったのだと思います。
それでも、
転校生という立場と相まって、
自分が「外から来た存在」であることは、
はっきりと伝わってきました。
救いだったのは、
幼馴染の同級生がいたことです。
顔見知りがいる。
名前を知っている人がいる。
それだけで、
教室の居心地は大きく変わりました。
完全に一人ではなかった。
特別に目立つこともなく、
かといって、
完全に溶け込んでいるわけでもない。
その中間で、
私は少しずつ、
この場所に自分の立ち位置を作っていきました。
この経験は、
後になって、
何度も思い出すことになります。
新しい場所に入り、
外から来た者として見られ、
それでも、
時間をかけて受け入れられていく。
人の輪に入るには、
声を張り上げる必要はない。
ただ、
そこに居続けること。
この感覚は、
後の私の人生で、
何度も役に立ちました。
松浦での生活は、
こうして、
少しずつ始まっていきました。